2026/03/13
「今なぜ危機管理コミュニケーションが必要なのか?|第56回 北田会 in 大阪
カテゴリー 北田会|交流会
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2026年3月6日 第56回 北田会 in 大阪 を開催しました。
夕暮れ時から夜に変わっていく大阪の空と街を、34階の高い場所から眺めながらの準備時間。会の始まりの前の期待が自然と高まります。
今回は、特別ゲストに 広報・PR/危機管理広報アドバイザー の北田明子さんをお招きし、41名の皆さんにお集まりいただきました。
ちなみに、弊社の「北田」と北田明子さんには血縁関係はございません。
このレポートに出てくる「北田さん」はすべて北田明子さんのことです。
テーマは『今なぜ危機管理コミュニケーションが必要なのか?』という、どこか他人事のようで、実は身近で、この時代を生きるのにはとても大切なお話をしていただきました。
北田明子さんってどんな人?
ご紹介だけでレポートができてしまうほど色々な活動をされてきた北田さんですが、だいぶ割愛させていただくと下記のようなご経歴です。
大学卒業後、大阪読売新聞社に入社し。その後イギリス留学を経て、週刊ダイヤモンド、東洋経済新報などで経済誌記者として活動されました。
2001年には対中国投資コンサル会社副社長として上海・広州に駐在。帰国後は、危機管理広報を中心とした広報アドバイザーとして大阪市交通局(現 大阪メトロ)の広報課長、大阪府堺市広報戦略専門官などを歴任。
現在は、 民間企業や滋賀県公文管理・情報公開・個人情報保護審議会委員など自治体で伴走型の広報PR、危機管理広報支援に携わっていらっしゃいます。
著書も多数執筆されていますので、文末にご紹介しておきますね。
また、2019年に開催した北田会in滋賀の、「イングリッシュガーデン ローザンベリー多和田」でも、広報・観光プロモーションに尽力されていました。
危機管理コミュニケーションって?
参加者には業種や職種だけでなく、さまざまな立場の方がいらっしゃるため、 まずは「危機管理コミュニケーションとは何なのか?」という基本からお話いただきました。
従来は、「企業の不祥事や事故などのトラブルに対し、被害を最小限に食い止めるリスクマネジメント活動」のことをそう呼んでいました。
しかし現在ではそれに加えて、不祥事や事故などのクライシスになる可能性のあるリスクを未然に防ぐ活動も含めて、「危機管理コミュニケーション」と呼ばれるようになっているそうです。
危機管理広報への転身
企業の不祥事や“炎上”は、人の記憶に残りやすいものです。
北田さんが実際に起きた事件を次々と挙げながら、危機管理広報の歴史をざっくりと振り返ってくださいました。
会場からは「あ~、あの事件ね。」「そんな炎上もあった!」という表情も伺えます。
広報の大きなターニングポイントは2000年くらいだそうです。
それまでは、広報といえば、新商品発表や、新事業展開などの明るいニュースを発信する「PRのパートナー」でした。
それを大きく変えた事件が食品会社の集団食中毒事件での社長発言の炎上でした。
この出来事は「危機管理広報が絶対やってはいけない事例」として語り継がれるほどのインパクトを残しているそうです。
この頃から、企業の対応次第で会社の存続にも影響するという危機感が日本社会に広く認識されるようになったといいます。
さらにその数年後、2007年の関西で起きた食品偽装事件の謝罪会見を、当時まだ記者だった北田さんは記者席で目の当たりにしました。
会見での出来事をメディアで面白ろおかしく取り上げたられた結果、一つの企業が倒産に追い込まれてしまったことに大きな衝撃を受けたそうです。
このご経験が、北田さんが”企業を守る側”として危機管理広報の道に進むキッカケとなりました。

苦情処理やメディア対応に追われる日々
そんなタイミングで、ある大きな企業の食品偽装事件に巻き込まれた北田さんは、会社の内部に入り、経営責任者としての苦情処理、メディア対応、再建に奔走する日々が続きました。
結果、30年間増収増益を保っていた業界屈指の企業でも、会社は解散となり、社員の大半が会社を去ることになったそうです。
それが北田さんの危機管理広報としてのデビューでした。
こういった経験を経て、「企業は発生時の対応だけでなく、未然に防ぐこととの両輪が重要、むしろ未然防止が重要」という流れになってきたそうです。
ネットメディアの時代
昔は、不祥事が起こり、メディアからの問い合わせに対し記者会見までに1日くらいの猶予があり、その間にプレスリリースやFAQを徹夜で作成していました。
現在はといえば、SNSの拡散スピードがものすごいので、初動2時間以内での対応がマスト。そうしないと、フェイクニュースなども入ってきて、企業のブランドイメージは一瞬で崩壊してしまうそうです。
記者会見や、対応の良し悪しが企業存続にも影響してしまった例として、誰もが知っている事件をいくつか挙げてもらいました。
北田さんのお話を聞きながら、それら一つ一つの事件、その時のメディアやSNSでの反応がよみがえり、それは事件のこちら側にいる私たちでも十分感じたほどのスピード感だったことをあらためて思い出しました。
危機管理対応の難しさ
実は危機管理対応のことを全部できる人は、日本ではまだそんなにいらっしゃらないそうです。
理由は、「実際に不祥事を経験するチャンスがないから」
机上でレッスンや勉強をすることはできても、現場を経験された方は多くはいないし、経験のチャンスも頻繁にはないのは、なるほど、もっともな理由ですね。
ということで、現場を100件以上ご経験されている北田さんは東京、大阪を行ったり来たりの多忙な日々をおくっていらっしゃいます。
なぜ危機管理コミュニケーションが必要なのか。
「2025年イメージが悪化した不祥事ランキング」の発表に基づいてランクインした企業とその不祥事を簡単に説明していただきました。
横領、混入、コンプライアンス、暴力、転売、未払い、詐欺、サイバー攻撃、、、色々な問題がたくさんありましたね。
それを踏まえ、危機管理広報が必要な理由は大きく4つ。
「被害を最小限に抑え、再起のチャンスを残す」ために、
1つ目は信頼崩壊の防止のため、即時対応で情報の空白を作らず主導権を握る。
2つ目は二次被害としての炎上を食い止めるため。(臆測やデモの広がる前に発表)
3つ目は経済的損失を最小限にするため。(対応で、解決能力を問われる。)
そして最後は従業員のモチベーションを守るため。(内側への影響。人材流出を防ぎ、採用へも影響)
事件が大きく取り上げられている時にはよく目にすることはあっても、より踏み込んだ内容や、その後どうなったかということまでは、あまり追いかけないことが多いので、各企業や事件の具体的な内容に、引き込まれ、聞き入ってしまいます。
「あー、そんな事件があった!」
そうやって私たちは2025年の不祥事を思い出します。
けれど、あまりに多くのニュースが毎日毎日飛び交う中で、それらもいつしか過去の出来事になっていきます。
そんな時代だからこそ、企業がどのように対応するかを支える北田さんのような危機管理広報の存在意義は、ますます大きくなっているのかもしれません。
SNS発信のルール「さ・し・す・せ・そ」
ここからは私たちにも、より身近な話題です。
個人でSNSを発信する時のリスクマネジメントのルール「さ・し・す・せ・そ」を覚えて帰ってほしいと教えていただきました。皆さんも参考にしてください。
SNSのとき、避けたほうがいい「さしすせそ」(SNSエキスパート協会)
さ:「差別」と「災害」
し:「思想」と「宗教」
す:「スポーツ」「スキャンダル」「スパム」
(例:阪神ファンと巨人ファンの試合後の炎上とか・・・笑)
せ:「政治」と「セクシャリティ」
そ:操作ミス ←いわゆる誤爆です。
それぞれ、具体的な理由は調べてみてくださいね。
危機管理コミュニケーションは装備です。
今では、危機管理コミュニケーションは、企業には絶対必要な企業を守るための「装備」。そして「投資」である、と北田さんはおっしゃいます。
常に抱えるリスクに対応できるよう、日頃からの準備が大切、ということです。
現状は、大手企業ですら広報部門に危機管理マニュアルがないところもまだまだあるそうです。
しかしそれらは画一的なマニュアルなどではなく、個々の会社の状況に合わせて、ともに時間を掛けて取り組まなければいけないもの。
だから、北田さんは「伴走型」の危機管理広報の支援、と、ご自身を名乗っていらっしゃるのだな、と思いました。
本来ならもっと自由に、時々話が脱線しながらの経験談などもお話いただきたいところでしたが、1時間以内という制約上、きちんとまとめた原稿を手元におき、あらかじめ資料も準備して、スピーチしていただきました。
6時間分の内容を1時間に短縮して臨んでくださった北田さん、貴重なお話を、ありがとうございました。

参加されたみなさん
北田会は、東西合わせて色々な業種・職種・タイプ?の方々にご参加いただいているのですが、今回はいつもご参加くださる皆さんに加え、初めてお越しくださった方も多く、それぞれ個性溢れる方ばかりで、いつもとはまたちょっと雰囲気の違った会になったかな、と感じています。
人が集まると新しいご縁が生まれたり、「世間は狭いですね」と感じるようなつながりが見つかったりするものですね。
「元上司がご参加されていた方々と知り合いだった」、「以前の職場でよく顔を合わせていた方と会場でばったり再会してビックリ!」 そんなお話も聞こえてきました。
また、北田明子さんのご縁でご参加くださった弁護士事務所の方ともよい情報交換ができた、というお声や、「勉強会も交流会も非常に刺激があり、とても楽しかったです。」といったメッセージもいただき、うれしく思っています。
さらに、今回は日頃より親しくさせていただいている人材紹介会社の方にもご参加いただきました。
その後はお料理と飲み物を手に、会場のあちこちで話が弾んでいる様子も見られました。皆さん、懇親を楽しんでいただけたでしょうか。
自分で作るソフトクリームも好評だったようです。
リズミカルでパワフルな関西の言葉が飛び交うのを聞いていると、とても心地よく感じられました。
今回の会場は・・・
今回、会場に使わせていただいたのは、Orchid time by Osaka Metro さんです。
34Fにあり、扉の向こうにはプールと、広がる夜景という絶景のレストランで、美味しいお料理とお酒のおもてなしを、ありがとうございました。
お世話になった大阪メトロさんにもご挨拶いただき、 Meto Laboなど、ご紹介いただきました。

著者ご紹介
参加してくださった方、そしてレポート読んでくださって北田明子さんご自身や、危機管理コミュニケーションに興味や関心をお持ちいただいた方へ、北田明子さんの著書をご紹介します。
「沸騰する中国」(共著・ダイヤモンド社)
「企業法務と広報」(共著・民事法研究会)
「事業再生の実践」(共著・民事法研究会)
「企業の法務とリスク」(共著・民事法研究会)
「笑う闇金融」(ダイヤモンド社)
「金融の修羅場」(共著・鹿砦社)
「デジタル時代の情報発信リスクと対策」(東洋経済新報社) *2023年12月6日出版
最後に。
情報拡散のスピードも早いですが、年月の過ぎるスピードもどんどん早くなっているように感じます。
その中で、今回お集まりいただいた皆さまのご縁が、これからもどんどん繋がり、広がり、そしてまたの機会にお会いできますように。
その日を楽しみにしています。

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