2025/03/17
薬師寺でお写経をしよう!|第54回 北田会 in 奈良
カテゴリー 北田会|交流会
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2025年3月8日(土) 第54回北田会in奈良 を、開催しました。
奈良の薬師寺でお写経をしよう。というテーマに12名の方が参加してくださいました。
お写経とは
お写経 という言葉は聞いたことがあっても、なかなか身近には感じられない人や、ちょっと興味はあったけど何をどうやっていいのかわからない、という人もいらっしゃると思います。
お写経とは、一言でいうと お経を書き写すこと です。
薬師寺では、お写経道場を設け、そこで書いたお写経は永代供養していただけます。
お写経には厳格な決まりはありませんが、供養してもらうためには一定の作法があります。
今回、参加者ほぼ全員がお写経初体験だったのですが、奈良をこよなく愛し、現在は奈良に移り住んで生活されているFさんに指南役をお願いしました。
お写経道場
北田会開催の日は、毎月8日の「薬師縁日」の日で、通常のお写経とは違い、お写経会のあと、おうどんを振る舞ってくださいます。そしてその後、約1時間程度の縁日法話という公開法話を聞くことができます。
集合はお写経道場。
入口で受付を済ませ、写経の作法や写経観念文などが書かれたものを受け取ります。
そこでFさんにお写経の心得をレクチャーしていただきました。
輪袈裟(わけさ)という紫色の布を首にかけ、丁子(ちょうじ)という小さな茶色いものを口に含み、写経が終わるまで口の中にずーっと入れておきます。
いよいよ道場の中へ。
広々とした部屋に敷き詰められた机、唱えられるお経。
道場にはいって、香象(こうぞう)という象の形をした香炉をまたぎ、清めの儀式を行います。
丁子で体内を、香象で体外を清めるということだと思いました。
机には墨、水、硯、写経のための毛筆。
座ったら自身で墨をすり、見本の上にお写経の用紙を重ねて、準備完了です。
いよいよお写経開始
実は、通常のお写経道場では静かな部屋に入り、各々お写経するのですが、この日は縁日なので、私たちが道場に入ると、ちょうど納めたお写経の祈願が行われている最中でした。
道場の中にはお経を読む声が響き、お写経前によいお話を聞くことができました。
「発菩提心 荘厳国土(ほつぼだいしん しょうごんこくど)」
一人ひとりが清らかな(正しい)生き方をすれば、国全体が美しくなる。
ということを勉強して帰ってほしい、とおっしゃいました。
さて、いよいよお写経開始。まるで入学試験のように机が並ぶ中、座って周囲も気になりつつ墨をすりはじめ、最初の文字を、、、。
小一時間後、書き終わったお写経を仏様の前に供え、退室した人から、温かいおうどんをいただきます。
「どうでした?」
「筆に墨をつけすぎてボテっとなってしまって…。」
「すぐに文字がかすれて、一文字ずつ墨をつけていたら時間がかかっちゃいました。」
「途中文字がわからなくなって、下の手本をめくって確認しながら書きました。」
「筆だとうまくかけなくて…。」
などなど、初めてのお写経(毛筆で文字をたくさん書くこと)の感想を楽しそうに話しながらの食事となりました。
法話
薬師寺の中には梅の木がそこかしこに植えてあり、ちょうど見頃を迎えていました。
ほんの少し春の暖かさも感じる陽射しと、広々とした薬師寺の中を歩いているととてもすがすがしい気持ちになります。
まほろば館での法話は、薬師寺の梅の話から始まり、瑜伽師地論(ゆがしじろん)の由来、お釈迦様の精神が形になっているのが経典であること。
薬師寺創建の歴史、そしてなぜ3月17日がお写経の日なのか、なぜお写経が始まったのかなど、いにしえから続く、長い長いお写経の歴史に少し触れることができたような気がしました。
お写経というのは、自分が書いている間は修行のための道具ですが、完成して薬師寺に納めたらそれは「法身」としてお釈迦様そのものになり、薬師寺が続く限りそこに収められます。
だから100年経っても消えないように、墨や鉛筆で心を込めて書きましょう、ということなのです。
もしご興味のある方は、毎月8日に行われる薬師縁日にお出かけになるのもいいかもしれません。
境内散策
法話のあとの境内散策は何も知らずに歩くより、少しだけ特別に感じられます。
広々と静かな境内で、いくつものお堂や東西の塔を、一箇所ずつゆっくりと巡りました。
数年前に北田会で仏像の勉強をしたことを思い出し、仏像を正面からでなくさまざまな角度から眺めてみました。
「写真を見るのとは、全然違う」
どなたかがポツリと呟いた一言。それがとても印象的でした。
足元の砂利、吹き抜ける風、広がる空、建物の高さや奥行き、それらはやはり、この目で見て、肌で感じてこそ、初めてわかるものですね。
そして最後に、お写経前におっしゃっていた言葉、「発菩提心 荘厳国土」の文字が刻まれた灯籠をみんなで確認し、集合写真も撮って、解散となりました。
昨今の京都の喧騒と比べると、奈良には心が落ち着く魅力があると、参加者の方も話していました。
土曜日なのに、広い境内が人であふれることもなく、駅へと続くあまり広くない道にも、どこかのどかな雰囲気があり、とてもよい時間を過ごすことができました。
ガイドさんにお願いするのと変わらないくらいの愛と知識をもって薬師寺を案内してくださったFさんにも感謝です。
お写経は続く。
少し気後れしながらも参加してくださった方もいたかもしれませんが、新しい体験はいかがでしたか?
お写経を通じて何かを感じたり、受け取ったり、心が鎮まったりした方がいたなら、受け継がれてきた薬師寺のお写経の歴史の一端に触れ、これからもご縁が続くかもしれませんね。
ご参加、ありがとうございました。
これからもまた、東西の北田会でお会いできるのを楽しみにしています。


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