組織開発の時代~組織行動を診断する会社、株式会社ディジットの三浦才幸さん|第44回 北田会 in 東京

2018年11月21日(水) 第44回北田会in東京を開催し、26名の方にご参加いただきました。

今回のゲストスピーカーは株式会社ディジット 取締役チーフエバンジェリストの三浦才幸さんです。

お話いただいたテーマは「組織行動を診断する」です。

組織行動診断(BBA)とは?

組織行動診断=BBA(Business Behavior Assessment) ←造語だそうです。

三浦さんは10年以上この事業をやっていますが、やっと最近注目され始めたと実感しているそうです。要するに、組織として行動する時の特性を知るための診断です。

なぜ、今、組織診断か。

かつて労働人口が多かった時代は、労働力=経済力アップ。これがバブルの時代に代表される現象でした。みんな頑張っていい生活をしよう!という意識が競争社会と経済発展を支えていたのですね。

その後、バブルがはじけ、さらに出生率がどんどん減少し、経済力は下降していきます。それを補うためにも、最近では外国人労働力が入ってきますが、それでも全然足りていません。

労働力が圧倒的に足りなければ、それを組織でカバーするしかなくなります。今までは人材開発の時代でしたが、もうそれでは頭打ちです。
なのでこれからは「組織開発」していくしかない。というのが三浦さんの持論です。

そこで組織開発するのに必要になるのが、組織を見える化する、数値化する。という組織診断になるわけです。

組織診断が必要な理由。

よくいう「人→もの→金」というのは、事業化する順番です。
人がいて、ものができて、そしてお金になる。

では、どれが一番、数値化できているのでしょうか?それは「金→もの→人」だそう。
人や組織はなかなか数値化されていない。確かに、見えづらい部分ですよね。
なので、個人から組織の問題に至るまで、「人・もの・金」を分析し、健康経営を目指すことが大事なんだそうです。

実は、日本においてはじめて大規模に組織診断を実施したのが「ストレスチェック」です。

三浦さんが細かいグラフにして示してくださったのですが、ざっくり説明すると、最近(2014年)のデータによると、精神疾患患者の数は400万人に手が届こうというくらいの数。そしてうつ病と診断された人は、112万人強です。肺炎の外来数よりうつ病の方のほうが多い時代になっているそうです。

もうメンタルケアというのは特別なことではなくなっています。

最初に書いた、労働力人口が減少していることに輪をかけて、その労働する人が、つらい思いをしていて、会社には行くけれどなかなか仕事につけない、という現象は、より労働力を逼迫していると言えます。

組織開発ってなんですか?

そもそも、組織開発には健康経営が必要である、と提唱されたのは1969年なんだそうです。企業の健康と、そこで働く人の健康は、非常に密接な関係にあります。

1969年に提唱されていることがやっと今、日本でその重要性を認知され始めたということのようです。ここが重要なのだと三浦さんはおっしゃいます。

企業の健康と人の健康には
1)医学的な健康
2)経営的な健康(遅刻、欠勤率、仕事への熱意や職場環境への満足度など)  という2つがあります。

ここでディジットのBBA on CLOUDという経営支援ツールを使うと組織の問題や特性が見える化するそうです。

1)行動特性が数値化されて見える。
 過去10年、約600社、延べ20万人のデータと比較して偏差値が出る。
2)部署や支店ごとの意外な特徴なども明らかになる。
3)肌感覚で掴んでいた長所、短所が明確になる。
 多くの企業のトップの人と話していて、データからの行動特性を言うと肌感覚で掴んでいることがほとんどだそうです。

このように分析し、出した結果の偏差値、リスク出現率は、2つとして同じ結果はないそうです。もちろん、パターンはありますが、組織の価値観なども浮き彫りになってしまうそうです。

面白い事例をいくつか紹介していただきました。

○整理整頓は業績と密接な関係があった。(ドキッ!)
○情報の共有を高めるとチームワークが悪くなったりする。(コンサル会社などによくある)
○倒産寸前の会社は価値観がバラバラだった。
○上司が残っているから帰れないとか、客先に直行する前に朝礼に出ないといけないというようなコミュニケーションは業績を下げる。

こういうことが組織診断として見えてくるようです。(事例はもっともっと聞いてみたいですね。)

他にもいろいろお話頂いたので詳しくレポートをしたいけれど、長くなりますので、そろそろまとめに・・・。

ディジットの価値

ストレスチェックというのは、諸外国ではとっくに取組みがはじまっていて、イギリスやデンマーク、米国が先進的なんだそうです。
デンマークでは1人でも雇ったらストレスチェックをやらないと事業停止命令が出るそうです。それは経済成長阻害要因排除が目的なんだそうですが。

日本でも2015年には義務化され、それが初めて組織を数値化したものと言えるそうですが、残念ながら集団分析が欠落しているところが多いそうです。

現在、HR tech に関しては約300近いサービスがありますが、組織データを持っているのはほぼディジットさんだけなんだそうです。会社組織のデータがなかったら、個人データだけではマッチングはどうやるのか。と考えたときに、このような企業に組織データを提供する付加価値はとても高いと言えますね。

ピープルアナリティクスの話や、ポピュレーションアプローチの話をキーワードにその後もまだまだ興味深いお話を聞くことができました。ありがとうございました。

では最後に質問コーナーからいくつかご紹介しますね。

質問コーナー

Q.なぜこの事業をやろうと思ったのですか?

A.人事を9年やってベンチャー企業に転職し、その会社が上場したときに、技術部が1~3部まであって、業績の違いがあったことに「どうして違いが出るんだろう?」と疑問をもちました。
あとは、肌で感じた何かがあって、それが数値化できないか、と考えたのがきっかけです。どんどん「あれもこれも業績と関わりがあるんじゃないか。」と発展していきました。



Q.組織では、上司との関係は数値でどう分析できますか?

A.上司が偏差値が低い場合、部下がカバーしているのか、上司を諦めているのかがわかります。部下がちょっとでも数値が伸びていれば組織としては自浄作用ができている。上司の数値が凹んで、部下がアベレージで動いていたら、その組織はレベルが低いということになりますね。



Q.ストレスチェックは具体的にどのような方式でやっているのですか?

A.web、マークシート、QRコードを使って受検します。報告書にはストレスコーピング、信頼度判定などの尺度をいれて集団分析をしています。



Q.BBA組織診断を依頼してくるのは会社のどのような立場の人が多いですか?

A.離職リスクを回避したい、情報漏えいリスクを極小化したい、業績を上げたい、拠点ごとの業績の差異分析をしたい、組織を活性化させたい、事業継承準備中、継承したばかりの会社などからのご依頼が多いです。その中でも、経営トップや人事・総務など会社全体を俯瞰する立場の人からご依頼されることが多く見られます。

最後に、、、。

いつももっと簡潔にレポートが書ければなぁと思いながら添削を何度もするのですが、お伝えしたいことがたくさんあってなかなかまとめられずに苦労します。

今回の三浦さんのお話と、前回の人事の方のお話にはとても共通点があって、個を見ることとそれを組織と関連付けることで、何もかもが見えてしまう時代なのかーーー。と、感心すると同時に、私達がずっと属しているはずの身近な社会、組織というものは、日々、大小のうねりにさらされて、何年、何十年かけて、こんなにも変化し多様化し、複雑化してしまったのかと改めて思い知らされた自分がいました。

知らないことを知るということ、アイデアを持って何かに取り組んでいる方のお話は目を覚まさせてくれるようなありがたい気持ちになります。

スピーチありがとうございました。

さて、その後は初参加してくださった方が簡単にご挨拶してくださいました。

海外にいたけれど日本をどうにかしたいという思いで戻ってきて日本でビジネスをしている方、
三浦さんと一緒に三浦さんの思いを全国に広げていこうと社団法人を立ち上げた方、
もう少し働く環境を良くしたいと奮闘している産業カルンセラーの方、

去年フリーランスとして独立し、本を出版する方、
来月、ワンマンライブを開催する方、

立ち上げたビジネスが2年経ち、どんどん新しいことにチャレンジしている方、
骨盤調整のインストレクターを始めた方、
フリーランスで広告の仕事を始めた方、などなどありがとうございます。

また次回、お会いしましょう。

数ヶ月に1度の交流会ですが、新しいチャレンジをしている方、今いる場所で頑張っている方、これを機会に皆様のつながり、どんどん広げていっていただけると嬉しいです。

ご参加いただき、ありがとうございました。

今回、会場に使わせてもらったのは、月の市場 さん。おいしいお料理をありがとうございました。

Facebooktwitter
TOP