転がる石には苔がつかない

Mさん(39歳) 人事マネージャー/消費財メーカー

”A rolling stone gathers no moss.”

“A rolling stone gathers no moss.”(転がる石には苔がつかない)という諺がありますが、
「職業や住まいを転々と変える人は金がたまらず、友人もできない」と
「常に活動的な人は新鮮である」との相反する2つの意味があるそうです。
(出典:ウィズダム英和辞典 第3版)。

主にイギリスなど保守的な地域では前者の意味で使われ、アメリカでは主に後者の意味で使われることが多いそうです。

私の2回目の転職は、完全に後者の意味合いをイメージしたものでした。

不安要素

自身のキャリアを人事領域に絞りたいと考えて、新卒で組織・人事領域に強みを持つ経営コンサルティング企業に入社。
約5年間、コンサルタントとして経験を積み、「クライアント企業の組織づくりではなく、自社の組織づくりがやりたい」と、事業会社に転職。

これが1回目の転職でした。

その後、事業会社での10年間で採用、育成、制度設計、組織開発、労務対応、人事戦略立案など人事としてあらゆる仕事を経験させてもらい、管理職にも昇進し、10名弱のメンバーマネジメントも経験。
会社からは高い評価をもらっていましたし、人間関係にも満足していました。

10年間で培ってきた実績や信頼、関係性から提案した企画も通り易く、企画段階から他部署と調整できるかどうかの見通しも容易くつけられました。
周囲は私が会社を辞めるなんて思っていなかったでしょうし、実際退職を告げたときに「もったいない!なぜ?」という反応をたくさんもらいました。

ただ、私にとっては、日々のこの企画の通り「易さ」、調整の容「易さ」が、将来への不安要素でしかなかったのです。

危機感

今さら紙幅を割いてまで私が言うことではないですが、時代はものすごい速度と振れ幅で変化しています。
VUCAと言われる予測不能なこの時代、今所属している会社、今やっている仕事が10年後に存在する保証なんてどこにもありません。

そんな時代にあって、将来自分が満足できる労働生活や収入を保証してくれるものは、自身の腕(スキル)以外にない。

2社目の事業会社での10年分の経験は、私が投じた時間以上に私のスキルを伸ばしてくれたと心から感謝しています。

しかしながら、次の10年はそうはならないだろうという危機感を、日々感じる「易さ」が私にもたらしてくれました。

挑戦

今回の転職活動でも良縁に恵まれ、さらに高いレベルで挑戦させてもらえそうな環境が得られました。

ニューカマーだからこその周囲から「値踏まれる」感覚、全くのゼロから事業構造や最適な組織像を見定めて、「誰が言うか」ではなく「何を言うか」で企画の良否が判断される環境。

次の5年、10年という貴重な時間を投じ、どんな経験が得られるか、今からとてもワクワクしています。


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コンサルタントのコメント

「攻めの転職」という言葉がピッタリと当てはまると思います。

新卒で入った会社でも、最初の転職先でも、今回の判断も、様々な声に耳を傾け、自身でも勉強をし考え、様々な状況を理解しながら日々の仕事に取り組まれていたことが、お話の中でヒシヒシと伝わってきました。
もしかしたら転職先はとても手強い相手になるかもしれませんが、攻めの気持ちを忘れず、人事マンとしてより高みに上って行って欲しいと思います。
応援しています!

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