キャリアはジャングルジムをぐるぐると巡るが如く

Nさん(40代後半) メディアマネージャー/ベンチャー・起業家支援会社

企業と大学でグローバル人材育成の経験を積んできたものの・・・

私は、二人の大学生がいる家庭持ちで、キャリア継続中のアラフィフです。グローバルな環境で協業できる人材の育成というフィールドでキャリアを積んできました。

具体的には、あるグルーバル企業の情報部門で、将来の幹部候補である若手基幹人材に、海外事業場で実テーマに取り組んでもらい、リーダーとして成長を促す事業でした。協業相手は、先進国そして新興国など約25か国の海外事業場の方々でした。

仕事は、人選、派遣先事業場の担当者や人事と、派遣・受け入れ調整、元の職場上司や派遣先上司を巻き込んだ育成計画のプランニングと実行、派遣者本人および家族のメンタル面も含めたフォロー、そして、帰任後の配属の見届けまでです。

より正確に伝えるならば、私は社員ではなく、外部の人間でした。ですが、上長に恵まれ、外部コンサルタントの方々と社員の方々は同じ意識を持ち働いていた職場環境だったため、私も幹部候補育成に深く関わり、必要に応じて各国事業場に出張し経験を積みました。約10年でおよそ100人近くの方々の日本人・外国人リーダー育成にかかわり、専門性を高めさせてもらった30代でした。国内外に幅広い人脈を築くことができました。

40代前半は、これらの人材育成の経験を大学教育で生かす機会に恵まれました。

私立大学でグローバル人材教育の授業や講義もやり、また、カナダに出張するなど、グローバルチームで次世代教育をプランニングし実行する経験に恵まれました。
その後、縁をいただいた理系国立大学院では特任准教授の立場で、世界30ケ国から来日した国費留学生を中心とした大学院生に対するキャリア教育、キャリア支援の任についていました。国内外に出張し、企業開拓を積極的に行っていた時期でした。

所属していたのが、先端技術研究系の国立大学院であったため、在学中に起業を志す外国人留学生が一定数おり、彼らの要望に応える必要がありました。そこで、日本で起業した外国人を講師に招き、体験談を語ってもらうプログラムも新設するなど、一定の成果を出せていたとは思います。

新型コロナで再転職活動を余儀なくされ・・・

私は大学新卒以降、ずっと関西で働いていました。そして、下の子が大学に入る段階で転職活動をし、幸い職を得て東京赴任を決行しました。2020年春のことです。

職場は国際交流系の財団法人で、人には恵まれたものの、新型コロナが財団法人の国際交流事業を直撃。例年どおりに事業を行うことができなくなりました。
そのため、大幅収入減となり、生活のメドがたたなくなりました。2020年冬やむなく再転職活動をスタートさせました。

前回の転職時に登録した複数のリクルートエージェントに再登録し活動を再開しました。しかし書類で落ち、面接で落ち、と転職活動は芳しくありませんでした。新型コロナでの採用控えもあるにはあるでしょうが、年齢による採用ハードルが上がっていることを実感しました。

そんな時、社会人大学院に通っていた頃からの旧知の友が、オフ・ビートの北田さんを紹介してくれました。「俺が個人的に慕っている、おもろい人で、とても面倒見がええ人や。一回話を聞いてきたら?」と、面接落ちして落ち込む私の背中を押してくれました。 

面談の場で、北田さんから、「面白い経歴ですね~」と、私の経歴に興味を示してくれたことと、しっかりとこちらの話を聞いてくださったことがとても印象に残っています。
一方で、年齢や職歴から、企業への転職について難易度があがっているとの指摘がありました。
「率直に言うと、厳しいですね」と。

転職活動で大切にしたこと

北田さんとの面談を重ねるうちに、現職場の案件紹介をもらいました。
小規模なエンジェル投資を行っている会社で、起業家支援のためのプラットフォームを持っている会社です。会員向けに月1回発行している会員誌の編集と発行が主担当の案件でした。

そんな編集長のような仕事が、果たして私の経験値でできるのか?と少々ひるみました。
ですが、「ご経験豊かな北田さんが、この会社が求める人物像と、私を重ねたということは、このお話やポジションは、私が挑戦しても良いものなのだろう。」と前向きに受け止めることにしました。

さらに、幸運な事がありました。
紹介された会社の社長と、私が通っていた社会人大学院で実際に教えていただいていた講師とも知り合いで、「Nさんの人物評を社長に伝えたよ。」と、講師から直メッセージをいただきました。美辞麗句を並べないタイプの講師で、そこがかえってよかったです(笑)。

実はもう一人、私には仕事やキャリアの選択で相談をしている方がいます。長年人事畑を歩いてこられて、現在は、ある会社の役員をされている方です。

「Nさん、アラフィフで見知らぬ人など、企業はリスクが大きくて採用できない。もしNさんの転職が決まるとしたら、人の紹介案件一択だと思うよ。」と、かねてからこう言われていました。
この助言も追い風になりました。

そして、現職場の社長と面談を経て、この春から正社員として採用いただくことができました。

キャリアはジャングルジムをぐるぐると巡るが如く

月並みですが、「キャリアは、登山ではなく、まるでジャングルジムに登るようなものです。いつの間にか高いところに上って視野も広がっているものです。」と。

今の自分も、過去から現在を振り返ると、この言葉がもっともしっくりきます。
キャリアって、道は一本だけ通っているわけではないとうことを、私も先達の言葉を借りて、みなさんにお伝えしたいです。

現代の働き方は多様になってきており、その変化は男性よりも女性の方が顕著だと思います。そして人により価値観や幸せの形もさまざまに変化していて、一昔前のように「絵にかいたような幸せ像」があるわけではありません。それぞれが、どうすればよりよく働け、良い状態でいられるのかを考え、失敗を重ねながら前を向いて走っていくものだと思います。

新型コロナの影響で、グローバル人材育成のキャリアが止まってしまいましたが、現職の「起業家支援」というフィールドは、既存・規定路線にただ漫然と乗るのではなく、挑戦する人の背中を押す、応援するということ。これは、私が仕事をしていて最も心躍るポイントです。ここは過去からの仕事とも共通します。

無我夢中で眼前課題を超えてきた30代。専門力を研ぎ、仕事に効くネットワークづくりを広げた40代。そして、次の50代は、どのように世の中、人々に貢献できるか、今、またワクワクしています。

今回の職につながるご縁をくださったすべての皆様に感謝申し上げます。

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コンサルタントのコメント

いろんな方々のご縁と後押しがあるのは、今までのお仕事や学校でのNさんの誠実な姿があってからこそ、だと思います。

「キャリアはジャングルジムを巡るが如く!」 良い言葉を頂戴しました。 新型コロナの影響のような時代背景、身近にいる方々からの意見、ご自身の経験・年齢・希望、等々、様々な要因に翻弄されながらも一歩一歩登っていく姿勢を忘れずに継続していくことが、重要だと思います。

今までとは少し異なる分野のお仕事になりますが、是非頑張ってください。応援しています!

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